昨日の晩御飯、昼ごはん、朝食を振り返ってください。何を食べましたか?肩こりに悩むアナタ、もしかして、あまり噛まなくてもよい柔らかいメニューが多くはありませんか?
ここでは、肩こり解消の食事をする際によく噛んで食べることの重要性を紹介していきます。
噛むことをしなくなった現代人
現代の日本人は一度の食事で噛む回数が昔に比べると激減しています(弥生時代:4000回、戦前:1400回、現在:600回とされる)。
それは食事に費やす時間が関係しているかもしれません。柔らかくて食べやすい料理が好んで食べられている、孤食と呼ばれる独りで食事をする、食事を機能的に考えている―――など色々な理由が挙げられるでしょう。
よく噛んで食べるというのは、意識しないとなかなか定着しないものです。しかも、上記のような食事時間が短縮してしまう原因を見ると、よく噛んで食べている方が珍しいのかもしれません。
しかし、それではいけません。よく噛むことが肩こりはおろか人体にどれだけ有用な行為であるかを紹介しましょう。
健やかな身体づくりはよく噛むことから
まず、噛む(咀嚼)という行為は、頭蓋骨と一体となっている上顎に、下顎の骨を引き寄せることです。下顎を動かすためには顎の外、内、前側、首筋、胸、背中にある12種類の「咀嚼筋群」とよばれる筋肉を使っています。
この咀嚼筋群が強くなると、あごが発達する、姿勢がよくなる、表情が豊かになるなどの健やかな生活を送る身体づくりに役立ちます。
しかし、筋肉は使わないと衰えます。噛む回数が少ない(咀嚼筋群が弱くなる)とあごの発達が悪くなる、姿勢が悪くなるので肩こりに直結する影響が出るのです。
とくに、子どもの場合、噛む回数が少ない食生活を送ると、歯並びが悪くなります。そうなると、左右のかみ合わせがズレて、食べるとき左右どちらか片側の歯を使いがちになり、咀嚼筋やあご周囲の筋肉に余計な力がかかるようになると、バランスが崩れてきます。
バランスが崩れると、咀嚼筋群と繋がる肩にまで影響してきますので、肩こりにつながるということです。
まんべんなく歯を使って噛む
また、歯並びがよくても、食べ物を噛み砕くとき片側の歯だけで噛む習慣がついてしまうと、その側の咀嚼筋やあご周囲の筋肉にのみ負担がかかって、筋肉疲労から肩こりを起こすこともあるのです。
ですから、食べ物を噛むときは、左右の歯を均等に使うように心がけましょう。
あごが痛いときは病院へ
また、何もしないのにあごの関節に痛みを覚える、悪い噛み合わせを放置したせいで、口を開け閉めするときに顎関節が痛くなる場合にも、防御的に咀嚼筋が緊張することがあります。以上のように咀嚼筋の緊張を招くと、頭蓋骨を介して肩こりの原因となる筋肉へも影響を及ぼし、肩こりになるのです。
口を握りこぶしが入るくらい大きく開けたときに、耳たぶの前側で「カクッ」と音がする、またそのときに痛みを覚える、食べ物を噛む時に下顎の骨が不自然に左右に動く、などの症状がある場合は、口腔外科あるいは整形外科を受診しましょう。あご周囲の痛みと同時に肩コリも解消するかもしれません。
歯の矯正も肩こりを治す方法の一つ
『肩こりと歯のかみ合わせ』のページでも紹介していますが、肩こりに悩む人が歯の矯正を行うことは大変良いことでしょう。歯の矯正を行うことで、噛み合わせが自然となり、肩こりの遠因となる咀嚼筋に余計な負担をかけることをせずに済みます。
ただし、噛み合わせのズレを治すベストな方法が矯正すること、というわけでもないのです。色々な都合で歯を矯正することが難しい人は、モノを噛むときに、左右両側の歯をまんべんなく使い、たくさん噛んで食べるということを意識してください。
継続は力なり
普段の生活習慣を改善することで肩こりの原因を減らすことが可能であり、食事をしっかりとたくさん噛んで食べることはそのひとつです。
忙しい毎日を送る現代の日本人が、食生活の変化等であごが発達せず、噛む力が弱くなっているというデータもあります。しかし、噛む力やあごを強くすることは簡単で、普段からよく噛む、たくさん噛む、まんべんなく歯を使って噛むということをすればよいだけなのです。
慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、続けていくうちに出来るようになっているので、今から始めて健やかな生活を送りましょう。