――― まぶたの手術と肩こり改善が関係している ―――
1990年代、信州大学医学部教授である松尾清さんの名を全国に広めた有名な研究成果です。
ここでは病院で行われる肩こり治療で手術の必要性について注目していきましょう。
肩こりが悪化→椎間板ヘルニアの場合。必要性:中
肩こりの治療で手術が選択されるといった場合にもっとも多いのは、やはり頸椎椎間板ヘルニアになった場合ではないでしょうか。
「首のヘルニアになる」のページでも紹介していますが、肩こりが原因で頸椎椎間板ヘルニアになってしまう方もいれば、頸椎椎間板ヘルニアが原因で肩こりになってしまう方もいます。
頸椎椎間板ヘルニアになってしまうと症状を改善するため手術を必要とする可能性が高くなってしまいます。
しかし必ずしも頸椎椎間板ヘルニアになると即、手術というわけではないのです。約90%の方は手術をしなくても保存治療で頸椎椎間板ヘルニアを治すことは可能です。ただ、約10%の方は手術が必要であるという統計があります。
五十肩の手術。必要性:低
他に行われる肩こりの手術には、関節鏡視下授動術があります。これは、主に五十肩の早期治療や長期間にわたって五十肩に悩まされ改善しない場合に行われる治療法です。
身体に1センチ程度の孔を開け内視鏡と呼ばれる医療機器を挿入し、肩こりの原因となっている癒着をはがしたり、靭帯を切断したり、骨の突起を削ったりする手術です。
施術者には高い技術を要しますが、術時間が短い、入院期間が短期間で済むなどの利点があります。
まぶたを手術して肩こり解消。必要性:不明
冒頭でも触れましたが、肩こりの解消に有効な手術として、まぶたを手術するという方法があります。まぶたと肩こりの因果関係が研究され、成果を挙げています。
まぶたが垂れ下がっている下垂症患者が手術をすると、肩こりも解消したということから研究が進んだようです。
まぶたの裏にはミュラー筋と呼ばれる小さな筋肉があり、まぶたを開閉するために働く筋肉です。下垂症患者は、無理をしてたるんだまぶたを開けるために常にミュラー筋を働かせています。
ミュラー筋はまぶたの裏にあっても全身の筋肉と連動しており、ミュラー筋の緊張が顔の筋肉や肩周辺の筋肉までも緊張させてしまうというのです。
そうなると、普段あまり使用しない筋肉までも酷使し頭痛や肩こり、めまいや吐き気、自律神経にまで影響を及ぼすとされます。
そこで、ミュラー筋の緊張を取る手術である眼瞼下垂手術(まぶたを医学用語で眼瞼と呼ぶ)を行うと、影響を受けていた肩こりも改善するということなのです。
ただ、眼瞼下垂手術を肩こり・頭痛改善のために行っているのはごく限られた一部の眼科医、形成外科医であって、保険が適用されないことがほとんどです。
さらに、ミュラー筋のみが自律神経症状の原因ではなく、視力障害等の改善のための手術である眼瞼下垂手術を肩こりや頭痛の改善に適応させることに異議を唱える医師もいます。
肩こりを治すための手術というのは、必要性が低く、最終手段だということを念頭に置いてください。他の治療法を試してみて、肩こりの原因というのがはっきりとわかるまでは、安易に手術という選択肢を選ばないようにすることが大事です。