肩こり頭痛、いわゆる緊張性頭痛については基本的に肩こりが原因で起こる―――と紹介してきました。ここでは、その中で何度か出てきた「片頭痛」について紹介していきましょう。
若い女性に多い病気とも言われている片頭痛ですが、命に別状がないとはいえそのツラさは頭痛もちにしかわかりません。
片頭痛の原因を紹介する前に―――
人間の頭部は、髄膜と呼ばれる3層の膜(軟膜、くも膜、硬膜)、頭蓋骨、筋肉、頭皮によって、幾重にもとりまかれています。そのなかに血管や神経が複雑に入り込んでいます。何らかの原因で、頭部血管の拡張、筋肉の緊張、神経の圧迫、炎症や出血があったりすると頭痛が起きるとされています。
しかし、片頭痛の起こる原因は諸説ありまだはっきりとは解明されていないため、残念ながら完治させることはできません。
セロトニン説 や三叉神経血管説などは、「脳へ行く動脈が収縮した後に急激に拡張し、脳の血流が急によくなり血管の近くにある痛みの受容体が活性化され、さらに炎症を起こす」―――という血管が広がることで起こるのだと唱えており、これが現在片頭痛の原因として最も有力な説となっています。症状や解消法は血管が収縮して起こる緊張性頭痛と正反対なのです。
次は片頭痛の起因についてです。
まず頭痛を基礎疾患のない一次性頭痛と、別の原因疾患による二次性頭痛に大きく分けます。
このうち片頭痛は一次性頭痛の部類に入ります。つまり、何かの病気ということではないが、「様々な原因によって引き起こされる頭痛」の部類です。
過労、睡眠不足、寝過ぎ、精神的なストレス、緊張した状態から解放されたときや、疲労、空腹、食べ物、アルコールなどの刺激、ポリフェノールが含まれているものを摂取する、人込みや騒音、香水などの匂い、気候の変化、シックハウス症候群、遺伝、出産、生理の前後に起こるホルモンバランスの急激な変化。
逆に妊娠中はホルモンバランスが安定するために片頭痛は起りにくくなります。日々の生活の中で常に原因があるということです。
次にどんな症状がでるのか??です。
片頭痛は、前駆症状・前兆症状・後発症状が起きるという特徴があります。
まず前駆症状が起きます。前駆症状は片頭痛の24時間程前から、気分や行動に変化が起きます。憂うつになったり、逆に高揚したり、怒りっぽくなったり、落ち着きがなくなる、などの変化が起こりやすく、吐き気や食欲不振が起こることもあります。
そして片頭痛が起こる前の1時間以内に前兆症状が始まります。前兆症状は約25%の人が経験するとされております。
前兆症状として挙げられるのは、視覚障害の「閃輝暗点」です。閃輝暗点とは、周辺部が光っていて中心部が見えない、本などを読んでいて文字が見えにくくなり、視界にチラチラする光や、チカチカする、ギザギザに走る光があらわれるというものです。
他にも、頻度は少ないですが、感覚障害、バランス感覚の消失、チクチクする感覚、片麻痺(体の左右どちらか半分が麻痺状態になる)、あくび、イライラ、空腹感、体のむくみ腕や脚の筋力低下、言葉がうまく話せないなどの症状など。
これら視力、感覚、バランス、動作などに一時的な異常が現れるのが前兆症状です。これは発作前に強く起こりますが、その他の時や片頭痛が始まると治まるのが特徴です。
次に後発症状が起きます。片頭痛に悩む約25%の人は、片頭痛の後に気分と動作に変調が起こることがあるようです。これは、前駆症状と同じような症状で、後発症状と呼ばれます。
最後に片頭痛の遺伝についてです。
これはまだ解明されていない部分が多いのですが、最近では片頭痛に関連した遺伝子を3個見つけたとする論文があるように、ちょっとずつではありますが解明されているようです。
統計として、片頭痛に悩む母から生まれる子の50%(娘が多い)が前兆のある片頭痛になるようです。
そして運動麻痺などの前兆のある片頭痛である片麻痺性片頭痛が親子間または祖父母、兄弟姉妹間で遺伝するのではないかとされている家族性片麻痺性片頭痛(FHM)が有名です。ただこのFHMですが、発作中に意識障害(ときに昏睡を含む)、錯乱状態などが起こりえるために、しばしばてんかんと誤診されることもあるようです。
片頭痛の遺伝を疑うのであれば遺伝子検査を実施している病院(神経内科・脳神経外科)で受診することをオススメします。