「風邪のひき始めに葛根湯」「早めの風邪に葛根湯」「青い風邪に葛根湯」などというキャッチフレーズのある漢方薬、葛根湯。そんな風邪薬のイメージが強い葛根湯は肩こりに効くらしいのです。
ここでは、肩こりに効く薬として葛根湯を紹介していきましょう。
葛根湯:成分
葛根湯は漢方薬として広く知られています。
葛根湯というのは、基本となる桂枝湯という漢方薬に葛根(カッコン:クズの根)、麻黄(マオウ:西洋医学の咳止め薬にも使われるエフェドリン類が含まれる)、桂皮(ケイヒ:おだやかな発汗・発散作用)、芍薬(シャクヤク:痛みをやわらげる)、甘草(カンゾウ:炎症やアレルギー症状を緩和する。ショ糖の 150 倍も甘い成分を含み食品分野で甘味料として用いられる)、大棗(タイソウ:なつめの果実)、生姜(ショウキョウ:しょうがの根茎)などを加えた漢方です。
葛根湯の“湯”は煎剤(生薬を精製水で浸出した液状の製剤)を意味し、煎剤は伝統的な漢方薬の最も一般的な剤形のことです。
葛根湯:効能
風邪の初期症状、とくに、寒さからくるタイプの風邪(青い風邪)には大変有効です。なぜなら、葛根湯に含まれる麻黄と桂皮の相乗作用による強い発汗作用と、体の熱を発散して治す働きがあるからです。
比較的体力のある人に向いているとされ、発熱がひどいタイプの風邪、胃腸の調子の悪い人、発汗が多い人にはあまり効きにくい、というのも特徴です。
そして、身体を温め血行を改善し、肩のはりや痛みをとる働きがある葛根は首や肩のコリに効くとされており葛根湯は肩こりに有効な漢方薬なのです。
漢方薬にもある副作用について
漢方薬と言えば、副作用のない安全な薬のイメージがありませんか?
それは、漢方薬が西洋医学で処方される薬と違って、自然治癒力を高めることを目指しているからというイメージがあるからではないでしょうか。
しかし、葛根湯に含まれる麻黄はエフェドリンのような作用の強い薬効成分を含んでいます。強い作用を示すのであれば、副作用が起きやすいのは当然の事です。
そのため漢方医学では様々な生薬と組合せることで副作用をなくし有効性を高める工夫がされています。さらに、患者個々の病態解析と最適な処方選択のための“ものさし”として“証”という概念が確立し、実用されています。
ちなみに、葛根湯が効く患者を指す場合、適応証(体質)は、表証(急性期)、実~中間証(体力中くらい以上)、寒証(悪寒)と表されます。
漢方薬の落とし穴!?
ドラッグストアーや薬局などで販売されているさまざまな葛根湯のほとんどはエキス製剤という薬草などを煮出したエキスを凍結乾燥などで粉末化しているものです。抽出の方法や生薬の産地に違いはないでしょう。
ただ、製剤技術の違いによって製品の品質に格差が生じている、配合されているエキスの濃度が違っている等の違いがあるようです。
濃度が高ければ効き目も高い(副作用のリスクも高い)とされていますから、注意してエキス濃度を確認していただきたいのですが、一般消費者には分かりにくい表示になっているのが現状です。
最良は漢方医に調合してもらう、そうでなければ漢方医のいる薬局で購入、もしくは薬剤師に要相談です。
漢方薬にも副作用があるので、気を付けて服用しつらい肩こりに役立てましょう。