このサイトは肩こり頭痛を中心に紹介していますので、もしかすると肩こりと五十肩(四十肩)を同じだと思っている方も多いかもしれませんが、五十肩(四十肩)と肩こりはまったく別のものです。
肩こりは「肩の筋肉が緊張している状態」、五十肩(四十肩)とは、肩関節の周辺に炎症が起こる(肩関節周囲炎という立派な名前の病気)、「肩関節が壊れて痛みが出たり動きに制限がある状態」です。
肩こりと五十肩(四十肩)が違うことが解っていただいたところで、五十肩(四十肩)についてもっとくわしく紹介していきましょう。
まず五十肩(四十肩)になると、肩が痛くなります。最初のうちは、その痛みもあまり強く出ないことが多いので、単なる肩こりと勘違いしてしまうケースがあります。ですから、症状を改善するために揉んだり、無理なストレッチや運動をしてしまったりします。
五十肩(四十肩)の場合は、もちろん肩こりと違いますから、それで治るはずがありません。
では五十肩(四十肩)の仕組みはどうなっているのでしょうか。
体は加齢とともに硬くなります。肩関節も同じく硬くなります。五十肩(四十肩)は中年以降、特に50歳代に多くみられます(俗称五十肩はこのためなんですね)。
関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。
また、大腸の働きが低下、もしくは不足しているために捨てられるべき老タンパクや老血液の排泄が不十分となり筋肉に老タンパクや老血液が残り、筋肉は炎症を起こし筋肉痛となります。
更に、筋肉を使うことによりできてしまう老廃物である乳酸が筋肉細胞に付着、蓄積され筋肉の伸縮が不十分となり筋肉痛が強くなります。弾力が損なわれた筋肉に、老廃物が蓄積され続けますと、腋の下や肩甲骨と脊椎の間に筋肉と老廃物の固まりができることも原因です。
他には、肩を覆っている肩関節を守り肩関節の動きをよくしている袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)という部分が硬くなってしまい(拘縮または凍結肩)、そうすると、関節包の中の容積が小さくなり、中で組織同士が擦れやすい状態になります。そして、腱が擦れることでキズ付き炎症が起こることも原因です。
拘縮または凍結肩になると肩関節はさらに動きが悪くなります。肩関節は、動かさないと固まってしまい炎症が起こりやすくなります。肩の痛みを庇いながら生活をしていても固まって動かなくなってしまい、痛みが出やすくなってしまいます。
そして次に肩甲骨です。肩関節の負担を増やしてしまうのが、肩甲骨の動きです。肩関節は肩甲骨と連動して動いており、この動きが悪くなるとさらに組織同士が擦れやすくなります。そして腱が擦れることでキズが付き、炎症を起こしてしまうというわけです。
五十肩(四十肩)その病態は多彩です。しかし、先に述べたことから、五十肩(四十肩)の症状として特筆すべきことは、「肩から腕にかけての痛み」と「腕の動きが制限されること」の2つだと言えます。
腕を持ち上げたり後ろに回す動作というのが痛みで制限されてしまいますので、背中を掻くことができなかったり、ネクタイを首にかけることができなかったり、電車のつり革を持つことができなかったり、頭皮をブラッシングができなかったりなどと、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
発症する頻度は、男女の差や日常的な運動の有無による違いはありません。 また、利き腕に起こりやすいというわけでもありません。五十肩(四十肩)の治療は現在運動療法が中心になっていますので、常日頃からも肩の運動をして、適度に動かす事が予防になります。
きちんと適切な治療を受けていれば、五十肩(四十肩)は半年から1年くらいで治る場合が多いのです。しかし症状が進行してくると夜中にも肩が痛むようになってきて満足に寝られなくなります。
一度五十肩(四十肩)になってしまうと、早い人は3日ぐらいで治る人もいますが、平均すると半年から1年半くらいはなかなか治らないので、非常に厄介な病気でもあります。
発生直後から5・6日は急性期といわれ、一番つらいのはこの時期です。(先に紹介した原因からもわかるように、このとき肩関節には筋肉の炎症が起こっているから)
それ以後は少しずつ症状も良くなっていきますが、少なくともこの急性期の間は無理な治療をしようとはせず、まずは湿布を張るなど安静にしておくことが大事です。できれば、日中は三角巾で腕を吊って固定してください。また寝るときは市販のバストバンドで体に腕を巻きつけて固定すると楽でしょう。
この急性期の5・6日を過ぎたら、少しずつ患部を温めていって血行の改善をしたり、運動やマッサージをしたりしていくことで少しずつ改善していきます。